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ドリーフォンティネン醸造所訪問記

ドリーフォンティネン醸造所訪問記

本日は、3 Fonteinen(ドリー・フォンテイネン)醸造所のご紹介。こちらは別途紹介しているオード・ベルセル醸造所から徒歩15分程度なのでセットで行くと効率的。ドリー・フォンティネンは「3つの泉」という意味で、ランビックのブレンダー兼メーカーだ。1953年にランビックのブレンダーとして設立された。60年代には併設のレストランを開店し、99年にはオリジナルのランビックの醸造をスタート。時代の流れにより巨大ビールメーカーに淘汰されていくランビックメーカーが多いなかで、このランビック醸造開始はベルギーでは80年ぶりの醸造所設立となったそう。原点回帰というか、こういう古き良きものを見直す流れは今後も続いて欲しいと思う。ちなみにブレンダーとしてのドリー・フォンティネンは、ブーン醸造所、リンデマンス醸造所、ジラルダン醸造所という3つの名門醸造所から原酒を購入しそれをブレンド、瓶詰め後、10ヵ月間瓶内熟成させているそう。オードグーズ、オードクリーク、ランビック、ファロなどを造っている。さて、見学についてですが、「要予約」とホームページに記載があったため事前連絡するも返信なし…。近くのオード・ベルセル醸造所は予約不要で隔週の土曜日の12時半から英語ツアーを開催していたので、そのあとに突撃してみることに。醸造所の手前には小さなショップがあり、裏手にはレストランが。レストランでは一般流通していないランビックを飲むことが出来るそう。ショップには誰もおらず、醸造所の前で若いお兄さんが休憩していたので、声を掛けてみることに。すると、ちょっとだけだったらいいよと醸造所の中に入れてくれた。所要時間は5分程度でざっと英語で各設備の説明をしてくれ、樽出しの11カ月の若いランビックの試飲(度数4%)も無料でさせてくれた。匂いをかぐとかなりの硫黄臭が…!温泉街のゆでたまごのような匂いだけれど、やっぱり癖になる。醸造所自体はこぢんまりとしているが、今まで見たランビックの醸造所と異なり近代的な設備が入っていた。調べてみると2009年に貸与されていた醸造設備の返却を余議なくされ、醸造を一時断念する事態に陥っていたよう。看板に2013年に新しい醸造所オープンと書いてあったので、一時中断の後、この時に新規設備を導入したみたいだ。ランビックの伝統的な型にとらわれない造り方をしているようで、醸造所にはホップのペレット(ホップを粉砕して固めたもの)が置いてあった。通常、ランビックには1~3年ほど乾燥させた古いホップの花をそのまま使うと本で読んでいたので珍しいなぁと思ったのだけど、残念ながら、非ペレットのランビックとこのランビックを同時に飲み比べたこともないし、そもそもまだ勉強不足なのでこれがどう味に影響しているのかは不明なところ…。 私達が醸造所から出てきたら、先ほどオード・ベルセル醸造所で一緒だった人たちがやってきた。皆さんやはりはしごする模様。彼らもここはアポなしだったようだが、お兄さんに簡単なツアーをやってもらっていた。さすが小さい醸造所なだけあってかなり融通が効く。見学の後はいくつかビールを購入し裏手のレストランへ。ここのビールを使った料理を楽しめると聞き、いそいそと注文したのだが、料理のオーダーは15時までとのこと。。。オーダーしたのは15時8分。入店時に言ってくれたら急いでオーダーしたのに…と非常に残念だった。火を使わないメニューだったらOKとのことだったので、チーズのサンドイッチをオーダー。薄切りの酸っぱいドイツパンの上にここのビールで作ったチーズが乗っているだけの簡単なものだった。美味しかったけど、温かい料理を食べたかったのでやはり心残り…皆さんもしここに行くことがあったら15時までにオーダーすることをお忘れなく… 鍵谷記 ショップ【ドリー・フォンティネン(3 Fonteinen)】住所:Hoogstraat 2 a, 1650 BeerselTel:+32 (0)2 306 71 03営業時間:金土(10:00~17:00)交通:Beersel駅より徒歩6分程度/オード・ベルセルより徒歩12分訪問予約:必要(メール/電話;以下リンクに連絡先有り)HP:http://www.3fonteinen.be/contact.html レストラン【ドリー・フォンティネン(3 Fonteinen)】住所:Herman Teirlinckplein 3, B-1650 Beersel(ショップ、醸造所から徒歩1分)Tel:+32 (0)2 331 06 52営業時間:月木土(12:00~15:00)金日(12:00~15:00、18:00~21:30)※火・水は休みHP: http://www.3fonteinenrestaurant.com/※英語メニュー有り

オード・ベルセル醸造所訪問記

オード・ベルセル醸造所訪問記

今日はOud Beersel(オード・ベルセル) 醸造所をご紹介。こちらは1882年創業の老舗醸造所だ。 2002年には一時閉鎖を余儀なくされてしまい醸造を中断しているのだが、その後、2005年にGert とRolandという二人の親子によって買い取られ、素晴らしいビールを世に送り出している。彼らの造ったビールはいくつもの賞を受賞しているそう。現在こちらでは、購入した原酒を自社にて発酵、ブレンド、製品化する、いわゆる「ブレンダー」を行っている。いくつかのランビック醸造所から樽で買い付け、自分でブレンドするブレンダーは、かつてのベルギーには多くいたそうだが、最近は少なくなっているとか。。 オード・ベルセル醸造所があるベルセル村はとても小さく、のどかな感じ。ブリュッセルからは車で約30分、この付近はゼネ川(Zennevallei)という川が流れていて、ランビックはこの川付近で造られるのだ。この川に生息する野生酵母(ブレタノマイセス系)がランビック造りに欠かせないからだ。 醸造所は小さくて分かりにくいが、ビールの樽と「Oud Beersel」という黒い看板が目印。入ってすぐはビールショップになっていて、その奥に醸造所がある。   英語のツアーを隔週の土曜日の12時半から行っていて、予約なしでの訪問が可能。私が行った時は、約20人の世界各国からの参加者がいた。みんなビールオタクのような雰囲気…(笑)。 ツアーはテイスティングをしながらのスタートだ。熟成庫のようなところで、若いストレートランビックを飲みながら醸造所の歴史や、醸造方法について話を聞く。冷却、煮沸、ホップ添加、そして樽洗浄の工程説明を聞いたら、お目当てのテイスティングタイム。2階の小さなバーで頂く。 私が飲んだのは写真左のOude Kriek(アルコール6.5%)。ランビックにチェリー(アメリカンチェリーのようなもので、日本でいうサクランボとは違うもの)を漬け込んで造ったビールだ。第一印象は、まず酸っぱい!第二印象で、ほのかにチェリーの香りと甘みが出てきて、口の中でシュワシュワとチェリー風味の泡が広がっていく。 2杯目はBersalis Kadet(4.5%)。印象は…、Oud Kriekを飲んだ後だからか何だか炭酸水を飲んでいるような爽快感。こちらはランビックではなくエールですが、軽いのどごしでラガーのような不思議なビールだった。 この他にもOude Geuze(グーズ)、Framboise(フルーツランビック)、Bersalis Triple(エール)、bzart Lambiek (珍しいスパークリングランビック)、bzart Kriekenlambiek(スパークリングフルーツランビック)などがあり、1階のショップで購入可能。   新しいものを取り入れつつも、ベルギーの伝統を守っていっている姿は思わず応援したくなってしまう。生産者と消費者の距離がこんなに近く、生産者の話を聞きながらビールを飲めるのはベルギーならでは、だ。 【Oud Beersel】住所:Laarheidestraat 230, 1650 Beersel (ブリュッセルからは車で約30分)Tel:02...

リンデマンス醸造所訪問記

リンデマンス醸造所訪問記

ランビック大手のリンデマンス醸造所(Lindemans)のご紹介。ランビックはブリュッセルの西の辺り(ゼネ川近郊)で造られるビールなので、比較的どの醸造所も訪問しやすいのがポイント。ベルギービールの醸造所は、田舎の方にあることが多いのだが、ブリュッセル近郊にあるランビック醸造所は公共機関でも行きやすいのがいい。リンデマンス醸造所に公共交通機関で行くには、最終的にはバスに乗らなければいけない。乗るのはDE LIJIN社の141番、リンデマンス醸造所というバス停で下車する。オプションはこのバスのみなので、141番の停留所をチェックして、そこまでメトロ/トラム/バスのいずれかで行って乗り継ぐことになる。ブリュッセル近郊といっても、醸造所があるところは結構田舎だ。醸造所の道路の両側は畑で、牛や馬がのんびりしているような場所にある。リンデマンスは醸造業を始める前は元々農家だったそうで納得だ。 ↑2014年にオープンしたという試飲ルーム   ツアー時刻になったらガイドと落ち合い、ツアー開始だ。ガイドさんはリンデマンスお抱えではなく、いろんな醸造所のガイドをする、いわゆる「職業ガイド」の方。ベルギーの醸造所は結構このタイプのガイドさんが多いのだ。その場合、「ビールとは…」という一般的な話になりがちなのだが、この日のガイドさんは「リンデマンス」についても詳しく説明してくれた。また、リンデマンスが家族経営の従業員20人強規模の醸造所ということもあってか、スタッフの方とも親しく、普段は立ち入らせてもらえないようなところまで、おまけで入れてくれたりもした。実は筆者は平日に醸造所に行ったのは今回が初めて。いつも週末に行くので機械が稼働していなかったり、スタッフの方が少なかったりするのですが、この日は動いている工場の中に入らせてもらい、瓶詰め工程の躍動感を味わったり、働いている方の様子を見たりと、いつもとは一味違う、「動いている」醸造所見学で、とてもワクワクした。ちなみにランビックの醸造所は、以下の3つのタイプがあるのだが、今回リンデマンスで面白かったのは、商業ランビックと伝統ランビックの両方の醸造方法を見れて、かつ同時に飲み比べが出来た点だ。<ランビック醸造所(ブレンダー含む)のタイプ>・ほぼ商業的なランビックを造っているところ(ベルビュー、モールシュビット)・商業的なものと伝統的なもの両方造っているところ(リンデマンス、ティママンスなど)・伝統的なものだけを造っているところ(カンティヨン、ジラルダンなど) 上で、伝統的やら商業的やらの言葉が出てきて、「???」 かもしれないが、ざっくり言うと、伝統的なランビックは、昔ながらの製法で甘味料や香料など加えず、じっくりと造るもので、酸っぱい味(砂糖を加えるFaroを除く)になる。一方、商業的なランビックは、甘味料・香料を加え、近代的な設備を使って短いサイクルで造り、甘いジュースのような味になる。大まかな製造方法の特徴としては、リンデマンスでは以下のように分けていた。【伝統的ランビック】・酵母の接種:開放的な冷却槽を使用・熟成:巨大なオークの木製樽で・瓶詰め:低温殺菌をせず瓶内再発酵をする【商業的ランビック】・酵母の接種:開放的な冷却槽を使用・熟成:ステンレスタンクで熟成、木のチップを加える・瓶詰め:低温殺菌をして酵母の動きを止める ↑リンデマンスの冷却槽(クールシップ)   ↑伝統的なランビックに使うオーク樽   ツアーの最後は好きな3種類のビールのテイスティングだ。飲んだのは、Cuvee Rene Gueuze、Gueuze、Faro。同じGueuze(グース:若いランビックと古いランビックのブレンド)でも、2種類あるのが面白い。「Cuvee Rene Gueuze」の方が、伝統的製法にて造られたグース、「Gueuze」の方が商業的製法で造られたグース。値段も倍以上違うのだが、飲み比べてみると味も全然違う。もちろん両方ともとても美味しいのだが、Cuvee Reneの方は愛おしくなるような(笑)酸味があってずっと飲んでいても飽きない味だ(おそらく筆者の主観がだいぶ入っているのだろう)。 最後に、商業的ランビックを何となく批判的なトーンで書いてしまったのだが、決してそうは思っていないことを特筆したい。確かに私は伝統的ランビックの方が好みなのだが、商業的ランビックは時代遅れだと言われ衰退の一途を辿っていたランビックに果汁を加えることにより、若者や女性層を中心とする消費者を惹き付け、ランビックを持ち直したという大きな功績があるからだ。また、飲みやすく、見た目もキレイなことから、この「ジュース(果汁)ランビック」をきっかけにベルギービールを好きになってくれる人も沢山いる。 でもジュース(果汁)ランビックからベルギービールに興味が出た人たちに、今度は、伝統的な製法のものもぜひ飲んでみてもらいたい。この複雑な味、香りには最初はびっくりして戸惑うかもしれないが、気の遠くなるような製造工程を知ったら絶対愛おしくなってしまうはずだ。   Lindemans(リンデマンス)醸造所 住所:Lenniksebaan 1479, 1602 Vlezenbeek, Belgium TEL : +32 (0)2 569 03...

カンティヨン醸造所訪問記

カンティヨン醸造所訪問記

今日はブリュッセルからアクセス抜群のランビックビールを造るカンティヨン醸造所(Brasserie Cantillon)をご紹介。当店でもこちらのカンティヨン・グーズ(Cantillon Gueuze)を扱っている。 ベルギーの醸造所は公共交通機関では訪問しにくい、辺鄙なところにあることが多いのだが、カンティヨン醸造所はその中は珍しくトップ3に入るアクセスの良さ。ベルギー旅行中に醸造所に行ってみたいけど難しそう…という場合でも気軽に行ける醸造所なのだ。 場所は、ブリュッセルの南駅近く。家族4代に渡って伝統的な醸造を続けている小さな醸造所だ。南駅から地図を片手に歩くこと約10分、CANTILLONと書かれた看板を発見。これがないと(あっても)本当にここが醸造所の入口かな…、とちょっと不安になってしまいそうな素っ気ない入口だ。勇気を出してドアを開けてみると、中はとても広く酵母のにおいが漂っており、何となく日本の醤油工場を連想させる。 ↑CANTILLONの目印の看板   入口すぐ側のカウンターで1人7ユーロの見学料を払うと醸造所の見学+ランビックビールの試飲(2種類)が出来るようになっている。毎日20分置きに英語とフランス語のショートツアーを行っており、予約なしで見学することが可能。ショートツアーは最初に概要を説明してくれて、その後は受付でもらったパンフレット(なんとかなり詳細な日本語版パンフレットあり!)で、自分で自由に見学ができる。 実際にランビックの醸造所を見て驚いたのが、醸造所内にはクモの巣が張り、柱にはカビのような白い斑点がついていたことだ。ランビックビールは野生酵母を利用した自然発酵ビールなので、大敵である虫対策として、クモに虫を食べてもらっているのだ。殺虫剤を使うなんてもってのほか。せっかくの野生酵母を殺してしまうからだ。先ほどカビかと思った白い斑点の正体は実は野生酵母だったのかもしれない。醸造所に住み着いているのだ。 ↑天井にはクモの巣が   自由にコースの見学をした後はお待ちかねのテイスティングタイム。最初に受付でもらったチケットを見せて好きなビールを2杯選択。筆者はストレートランビックとグーズをチョイス。ストレートランビックは、グレープフルーツのような酸味と苦みを感じる。酵母が2年半~3年の時間をかけて糖分を食べてしまうので酸っぱくなるのである。2杯目のグーズは年代の違うランビックビールをブレンドし瓶内で発酵させたもので、こちらもストレートランビックほど強くはないもののグレープフルーツのような香りがした。バーコーナーの隣には売店もあり、ビールはもちろんTシャツやトレーナーなどのカンティヨンのロゴが入ったグッズを購入することも可能。日本では手に入らないレア品だ。 ビール産業の近代化に伴い、非効率で費用がかかるランビックはどんどん世界の大手メーカーのビールに淘汰されていっているのが悲しい現状。二酸化炭素やシロップを人工的に抽入して作られる、現代版のなんちゃってランビックなるものも登場し、なんとそれは数週間で出来てしまう(これはこれで若年層、女性のランビックファンを増やしたという貢献はあるのだが…)。カンティヨン醸造所を訪問し、ベルギーの伝統的なランビックがなくなってしまわないようにしっかり飲まねば!とランビック愛が一層強くなった。 今回紹介したカンティヨン醸造所のランビックビールは、カンティヨン・グーズ(Cantillon Gueuze)がデリリウム各店で飲める。ぜひご賞味あれ!   カンティヨン醸造所(Brasserie Cantillon) 日本語のコース説明あり(紙面) 住所:Rue Gheude 56 1070 Bruxelles URL:http://www.cantillon.be/ 営業日:月火木金土10:00~17:00水曜、日曜、祝日は休み   鍵谷 記

セゾンビールと言えばDupont醸造所!

セゾンビールと言えばDupont醸造所!

サマータイムも始まってすっかり明るくなってきたベルギー。ビールが美味しい季節になってきました。 先週末のお出掛けの目的地は、ずっと行きたかったDupont(デュポン)醸造所です。私の記憶では去年までプライベート醸造ツアーのみだったと思うんですが、それが変更になったようで、最近調べたら今は毎月第一土曜日の午前中に醸造所ツアーを開催していました。そして有り難いことに3言語対応(英語、フランス語、オランダ語)!私たちは11時半から始まる英語のツアーを予約していきました(予約すると12.5ユーロ、予約しないと15ユーロ)。私の中でDupont醸造所といえばSaison(セゾン)ビールでしょ、というイメージだったんですが、どうやらMoinetteがこちらのイチオシのよう。醸造所に着くと、大きなMoinetteの看板が至る所にありました。Moinetteはベルジャンエールで、ブロンド、アンバー、ブルーンの3つのラインナップがあります。 ↑醸造所入り口、Moinetteのロゴがお出迎え ↑醸造所内部にて ちなみに私が楽しみにしていたSaison(セゾン)ビールとはどんなビールかと言うと…まず「Saison(セゾン)」とはフランス語で季節という意味。英語ではSeasonですね。「セゾンビール」と言うとなんだかモヤッとしていて若干定義が難しいんですが、上面発酵のエールで、アルコール度数は低め、ホップが強めで少し酸味のある夏にぴったりの爽やかなビールです。結構レアなビールなので普通のビアカフェにはあまり置いてないし、置いてあったとしても、まず「Saison」でカテゴライズはされていません。色が黄金色なので、大体ブロンドビールのカテゴリーに入っていると思います。でも名前は「Saison」を冠しているので、見つけたらぜひ飲んでみてください(たまにSaisonとついているけどSaisonビールじゃないこともありますが、Dupont、Silly、St. Feullienあたりを選ぶと確実です)。 このビールは、元々、ベルギーの一大穀倉地帯であるエノー州で、繁忙期の夏にやってくる季節労働の農民用に提供されていたビールでした。醸造は冬の農閑期。夏まで持たせるために、保存料としてホップを沢山使っているためホッピーなビールに仕上がります。また、農作業中に飲むものなのでアルコール度数も低いんですね。当時は「うちの農場はビールを〇リットル出すよ」、なんて言って農民を呼び込んでいたそうです。夏の農作業中にこのビールを飲んだらとても美味しそうですよね。   醸造所に着くと、醸造学を勉強している学生さんとオーナーの娘さんがガイドをしてくれました。参加者は私たちとアメリカで家族が醸造所を営んでいるというニューヨーカー。おかげで、着眼点が面白かったです。ビールの基本的な知識に、Dupont醸造所のあれこれを織り交ぜて説明をしてくれてなかなかいいガイドさんでした。 Dupont醸造所はワロンのエノー州に位置する醸造所で、1844年から醸造と農業を営んでいる歴史のある醸造所です。現在のデュポン一族になったのは、1920年からで、それ以来、家族経営の小規模かつ伝統的な醸造を続けています。従業員は全部で27人で、醸造に携わる人は10人ちょっとだそう。規模は小さいながらも、現在のオーナーは設備投資をして、今風に醸造所をリニューアル、さらにBio(有機)の認証を受けたビールをベルギーで初めて醸造したり、海外向けマーケティングに成功、アメリカを始めとし、日本などの海外に生産量の40%を輸出しているそうです。 ベルギーの醸造家の中でも注目されており、「世界でもっとも優れた醸造所10選」にも選ばれました。   ↑奥に見えるのがマッシュタン   ↑こちらが発酵タンク 今回面白かったのは、Dupont醸造所の上面発酵の温度について。 通常、上面発酵は20~25度くらいで発酵が進むのですが、この醸造所ではなんと35度とのこと。使用している酵母が35度くらいじゃないと発酵してくれないからだそう。今まで教科書的に上面発酵の温度を覚えていましたが、いろんな酵母があるんだなぁと新しい発見でした。 醸造所ツアーは所要時間は約1時間で、醸造工程順に回って、最後にショップとカフェに寄って終わります。ショップでは全商品のラインナップを説明してもらい、Dupont醸造所の有名なビールの6本セットのプレゼントパックをGET。そして、最後は立ち飲みのBarスペースで試飲タイム。好きなビールを3種類選んでおつまみにはDupont醸造所のチーズ(Moinetteのウォッシュタイプチーズ)を貰えます。味・アルコール度数の低いものから試していきます。私たちはまずはピルスナーとSaison Dupontの飲み比べ。ピルスナーはJupilerなどとは比べ物にならないくらい味がしっかりしいてモルト感がすごい。   ↑ピルスナー(左)とSaison Dupont(右)の飲み比べ   そして次はSaison DuponとスペシャルなSaison Dupont (Cuvee Dry Hopping)の飲み比べ。レシピはほぼ同じなのですが、スペシャルな方は、ドライホッピングの工程が追加されています。これはものすごい顕著な違いでした。もう鼻を少し近づけただけで、ホップの爽やかな香りがくる。ドライホッピングってこんなにも威力が強いのかと驚きのテイスティングでした。 ↑Saison...

満を持して!超話題のブリュワリー、De Dochter van de Korenaarへ

満を持して!超話題のブリュワリー、De Dochter van de Korenaarへ

このところ私のナンバー1の醸造所、「De Dochter van de Kornaar(デ・ドクトル・ヴァン・デ・コールナール)」醸造所に行ってきました!発音が難しい名前ですが、オランダ語で「稲穂の娘」という意味だそうです。創業は2007年とまだ若い醸造所。 この醸造所はベルギー、というか世界で最も権威のあるルーバンのビアフェス(Zyhtos Beer Festival)で来場者による投票で500種類以上のビールの中からなんと3度(2011、2013、2014)もNo.1ビールに選ばれたことがあるというスーパー醸造所なのです。これはものすごいことで、2回選ばれたところもないのに、その中で3回も優勝だなんて、マイクロブリュワリーがものすごい快挙です。出しているビールのバラエティも豊富で、すべて尖った面白いものばかりで、飲むたびにわくわくします。 ブリュッセルでもここのビールが飲めるビアカフェが少しずつ増えてきたのですが、何と言っても値段が高いし、それに全種類置いている訳ではない。ということで、ずっとこの醸造所に行きたい行きたいと思っていたのです。1月下旬に新装オープンするという話を聞いていたので、それを待っていた訳ですが、ついに待ち切れなくなり先日行って参りました。新旧両方知っているのも面白いですしね。   この醸造所、とてもユニークな場所にあるんです。どんな場所かというと、オランダにあるベルギーの飛び地なのです。場所はベルギーとオランダの国境近くのオランダ側。オランダのバールレ・ナッサウという街の中に、ベルギーのバールレ・ヘルトフという街があります。さらに、バールレ・ヘルトフの中にまたオランダの飛び地があったりと、もうよく分からない状況になっています。 歩いているだけで両国を行ったり来たりできるとっても面白い街なので、観光地としても人気があります。国境線が至るところにあって、「あ、オランダに入った!」、「今度はベルギーだ」なんて言いながらお散歩したり出来ちゃいます。   ↑左足はベルギー、右足はオランダ!   なんと店の中にまで国境線があるところも。珍しくてじーっと見てたらお店の人が中においでと言って色々話してくれました。どっちに納税するんだろうと気になってお店の人に聞いてみたところ、「納税はどっちにしてもいい」とのことでした。ここのお店のオーナーは3人いるそうで、2人がオランダを選び、1人がベルギーを選んでいるそうです。後で調べたところ、正面玄関がある方に属するそうなのですが、このお店の場合は入り口がベルギー側とオランダ側両方にあったり、オーナーが複数いたりで特殊ケースだったのかもしれません。   この場所ではないですが、最近ベルギーとオランダが飛び地を是正するため領土を交換したというニュースを見ました。 事件が起きたときなどに、警察が到達しにくいとかで、効率化に繋がるそうです。でもバーレル・ナッサウの場合は住民たちもこの状況を楽しんでいるそうなのでこの状況はしばらく続きそうです。   さて、では本題の醸造所ですが、訪問出来るのはショップとカフェスペースで、醸造所は少し離れたところにあるようでした。今度の新装オープンのときに醸造設備を見ながら飲めるようになるみたいで、とっても楽しみです。 私が行ったのは土曜日の午後でしたが、お客さんはゼロ。しかも急に停電したとかで、暗くて寒ーい中ビールを選びました。でもお店のおじさんが歓待してくれて、いろんなビールの説明をしてくれたり、受賞のトロフィーを見せてくれたり、高価なビールを2杯も試飲させてくれました。嬉しい限りです。しばらくすると近所の常連客がぼちぼち来始めてビールを飲んでいましたが、近所にこんなに面白い醸造所があるなんて羨ましいですね。   ↑店の前にて   ↑店内の雰囲気:停電復旧後   そしてこちらが私が買ったビール。   残念ながら売り切れのものも少しありましたが、それを除いてほぼ全種類購入しました!停電のためレジが使えずおじさんは計算が大変そうでした(笑)...