今日はDe Dolle(デ・ドレ)醸造所のご紹介。
Esen(エセン)というベルギーの北西に位置する、小さな家族経営の醸造所です。週末のみしか醸造を行っていない、いわゆる“日曜醸造所”。De Dolleとは現地の言葉で「気ちがい」という意味だそう。趣味で始めた週末の醸造に夢中、という醸造家のクレイジーっぷりを皮肉ったもの。
そんな「ビール気ちがい」のデ・ドレ醸造所は、「ビールの鬼才」として知られており、週末になると地元だけでなく世界中からビール好きが押し寄せる、とても面白いスポットになるのです。
デ・ドレ醸造所は週末しか醸造しておらず、醸造所見学が出来るのは毎週日曜日のみ。醸造所のホームページに記載があるアドレスにメールをして予約をします(英語ツアー14時、オランダ語ツアー15時から)。 私が行った日の見学メンバーは、日本人2名、イタリア人カップル、アメリカ人の男性2人組という超インターナショナルな顔ぶれ。こんな片田舎のマイクロブリュワリーに文字通り世界中からビールファンが集まってくるのです。
醸造所の前で開始時刻の14時を待ちますが、10分経過しても醸造所はシーンとしたまま。不安になりながら扉に貼ってあった電話番号に電話したら、親戚の会合があって遅れているからちょっと待ってくれとのことでした(笑)。その約5分後に現れたのは、派手な靴とベルトを付けたとても人の良さそうなおじさん。この方がオーナーのクリスさんです。
クリスさんの本業は芸術家で、デ・ドレ醸造所のマスコットキャラクターであるOerbier man(ウルビアマン)や、ボトルのラベルのデザインも全て彼が手掛けています。一見、子供の落書きのように見えるこのキャラクター、醸造所に生息する酵母を描いているとか。醸造所の中にはクリスさんの描いた絵が沢山飾ってあり、他の醸造所とは全く違った面白い、独特の世界観が出ていました。
↑クリスさんの描いた絵が醸造所に飾ってあります
さて、クリスさんの到着でやっと醸造所ツアー開始。デ・ドレ醸造所は、1980年にHerteleer一家が閉鎖した醸造所を買い取り、趣味で始めた醸造所です。以前はエセンの町には6軒の醸造所があったそうですが、現在ではデ・ドレ醸造所のみとなってしまいました。 「頭痛のしない美味しいビールを造りたい」という情熱のもと始まった醸造で、小規模ながらもとても面白いキャラクターのビールを造っています。
醸造工程で興味深かったのは開放型の冷却槽を使っている点。以前はよく、この銅製の水槽のような冷却槽で麦汁を冷やしていたのですが、現在はランビックなど一部のビールでしか使われなくなった伝統的な設備です。デ・ドレ醸造所は上面発酵のエールを造っていますが、開放型の冷却槽の使用により「ウルビアマン」がビールをより美味しく複雑な味にしてくれているかもしれません。
↑銅製の冷却槽
また、デ・ドレ醸造所の定番商品「Oerbier(ウルビア)」の限定商品も見学途中で試飲させてもらいました。
オーク樽を使って、2年間熟成したもので、年ごとにキャラクターが違うのがとても興味深かったです。
こちらは運が良ければ併設のショップで購入出来ますが、私たちの行った日は残念ながらありませんでした。
↑樽から直接試飲。2013年版、2012年版を飲みました
最後は、1階のガレージのようなスペースの脇にあるカフェでお楽しみの試飲タイム!
醸造所の看板商品である「ウルビア」と「アラビア」の樽生ビールをそれぞれチョイス。
ウルビアは、醸造所が創業時から造っているビールで、初めて売り物として世に送りだしたビールです。
度数9%のストロングダークエールで、若干の酸味も感じられ、6種類のモルトを使うことにより、スパイスが入っているかのようなとても複雑な味を造り出しています。
アラビアは度数8%のブロンドビールで、ホップ香が特徴的。
ドライホッピングの製法を取っているので、ビターで爽やかな印象がまず来ますが、エステル香と薄らとした酸味も感じられます。
デ・ドレ醸造所のビールは、ベルギーでは基本的に醸造所でしか飲めません。
しかし、日本ではエバーブルーが自社直輸入しているため、系列店で飲むことが出来ます。
秋葉原にはデ・ドレ醸造所初の旗艦店「ウルビアマン」があります!
日本でデ・ドレのビールが飲めるなんて奇跡みたいなもの。
樽生からボトルまで、飲み比べセットもあるので、ぜひ「ウルビアマン」の造った味を飲みに来て下さいね。
「De Dolle(デ・ドレ)醸造所」
住所:Roeselaerestraat 12b 8600 Esen Belgium
メール:info@dedollebrouwers.be 電話:+32 474 421 273
醸造所見学は日曜のみ、要予約、5ユーロ(試飲付き)
鍵谷記