カンティヨン醸造所訪問記

今日はブリュッセルからアクセス抜群のランビックビールを造るカンティヨン醸造所(Brasserie Cantillon)をご紹介。当店でもこちらのカンティヨン・グーズ(Cantillon Gueuze)を扱っている。

ベルギーの醸造所は公共交通機関では訪問しにくい、辺鄙なところにあることが多いのだが、カンティヨン醸造所はその中は珍しくトップ3に入るアクセスの良さ。ベルギー旅行中に醸造所に行ってみたいけど難しそう…という場合でも気軽に行ける醸造所なのだ。

場所は、ブリュッセルの南駅近く。家族4代に渡って伝統的な醸造を続けている小さな醸造所だ。南駅から地図を片手に歩くこと約10分、CANTILLONと書かれた看板を発見。これがないと(あっても)本当にここが醸造所の入口かな…、とちょっと不安になってしまいそうな素っ気ない入口だ。勇気を出してドアを開けてみると、中はとても広く酵母のにおいが漂っており、何となく日本の醤油工場を連想させる。

↑CANTILLONの目印の看板

 

入口すぐ側のカウンターで1人7ユーロの見学料を払うと醸造所の見学+ランビックビールの試飲(2種類)が出来るようになっている。毎日20分置きに英語とフランス語のショートツアーを行っており、予約なしで見学することが可能。ショートツアーは最初に概要を説明してくれて、その後は受付でもらったパンフレット(なんとかなり詳細な日本語版パンフレットあり!)で、自分で自由に見学ができる。

実際にランビックの醸造所を見て驚いたのが、醸造所内にはクモの巣が張り、柱にはカビのような白い斑点がついていたことだ。ランビックビールは野生酵母を利用した自然発酵ビールなので、大敵である虫対策として、クモに虫を食べてもらっているのだ。殺虫剤を使うなんてもってのほか。せっかくの野生酵母を殺してしまうからだ。先ほどカビかと思った白い斑点の正体は実は野生酵母だったのかもしれない。醸造所に住み着いているのだ。

↑天井にはクモの巣が

 

自由にコースの見学をした後はお待ちかねのテイスティングタイム。最初に受付でもらったチケットを見せて好きなビールを2杯選択。筆者はストレートランビックとグーズをチョイス。ストレートランビックは、グレープフルーツのような酸味と苦みを感じる。酵母が2年半~3年の時間をかけて糖分を食べてしまうので酸っぱくなるのである。2杯目のグーズは年代の違うランビックビールをブレンドし瓶内で発酵させたもので、こちらもストレートランビックほど強くはないもののグレープフルーツのような香りがした。バーコーナーの隣には売店もあり、ビールはもちろんTシャツやトレーナーなどのカンティヨンのロゴが入ったグッズを購入することも可能。日本では手に入らないレア品だ。

ビール産業の近代化に伴い、非効率で費用がかかるランビックはどんどん世界の大手メーカーのビールに淘汰されていっているのが悲しい現状。二酸化炭素やシロップを人工的に抽入して作られる、現代版のなんちゃってランビックなるものも登場し、なんとそれは数週間で出来てしまう(これはこれで若年層、女性のランビックファンを増やしたという貢献はあるのだが…)。カンティヨン醸造所を訪問し、ベルギーの伝統的なランビックがなくなってしまわないようにしっかり飲まねば!とランビック愛が一層強くなった。

今回紹介したカンティヨン醸造所のランビックビールは、カンティヨン・グーズ(Cantillon Gueuze)がデリリウム各店で飲める。ぜひご賞味あれ!

 

  • カンティヨン醸造所(Brasserie Cantillon)
  • 日本語のコース説明あり(紙面)
  • 住所:Rue Gheude 56 1070 Bruxelles
  • URL:http://www.cantillon.be/
  • 営業日:月火木金土10:00~17:00水曜、日曜、祝日は休み

 

鍵谷 記

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