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◆リンデマンス醸造所◆

ランビック大手のリンデマンス醸造所(Lindemans)のご紹介。ランビックはブリュッセルの西の辺り(ゼネ川近郊)で造られるビールなので、比較的どの醸造所も訪問しやすいのがポイント。ベルギービールの醸造所は、田舎の方にあることが多いのだが、ブリュッセル近郊にあるランビック醸造所は公共機関でも行きやすいのがいい。

リンデマンス醸造所に公共交通機関で行くには、最終的にはバスに乗らなければいけない。乗るのはDE LIJIN社の141番、リンデマンス醸造所というバス停で下車する。オプションはこのバスのみなので、141番の停留所をチェックして、そこまでメトロ/トラム/バスのいずれかで行って乗り継ぐことになる。

ブリュッセル近郊といっても、醸造所があるところは結構田舎だ。醸造所の道路の両側は畑で、牛や馬がのんびりしているような場所にある。リンデマンスは醸造業を始める前は元々農家だったそうで納得だ。



ツアー時刻になったらガイドと落ち合い、ツアー開始だ。ガイドさんはリンデマンスお抱えではなく、いろんな醸造所のガイドをする、いわゆる「職業ガイド」の方。ベルギーの醸造所は結構このタイプのガイドさんが多いのだ。その場合、「ビールとは…」という一般的な話になりがちなのだが、この日のガイドさんは「リンデマンス」についても詳しく説明してくれた。また、リンデマンスが家族経営の従業員20人強規模の醸造所ということもあってか、スタッフの方とも親しく、普段は立ち入らせてもらえないようなところまで、おまけで入れてくれたりもした。

 

実は筆者は平日に醸造所に行ったのは今回が初めて。いつも週末に行くので機械が稼働していなかったり、スタッフの方が少なかったりするのですが、この日は動いている工場の中に入らせてもらい、瓶詰め工程の躍動感を味わったり、働いている方の様子を見たりと、いつもとは一味違う、「動いている」醸造所見学で、とてもワクワクした。

ちなみにランビックの醸造所は、以下の3つのタイプがあるのだが、今回リンデマンスで面白かったのは、商業ランビックと伝統ランビックの両方の醸造方法を見れて、かつ同時に飲み比べが出来た点だ。

<ランビック醸造所(ブレンダー含む)のタイプ>

  • ほぼ商業的なランビックを造っているところ(ベルビュー、モールシュビット)
  • 商業的なものと伝統的なもの両方造っているところ(リンデマンス、ティママンスなど)
  • 伝統的なものだけを造っているところ(カンティヨン、ジラルダンなど)

 

上で、伝統的やら商業的やらの言葉が出てきて、「???」 かもしれないが、ざっくり言うと、伝統的なランビックは、昔ながらの製法で甘味料や香料など加えず、じっくりと造るもので、酸っぱい味(砂糖を加えるFaroを除く)になる。一方、商業的なランビックは、甘味料・香料を加え、近代的な設備を使って短いサイクルで造り、甘いジュースのような味になる。

大まかな製造方法の特徴としては、リンデマンスでは以下のように分けていた。

【伝統的ランビック】

  • 酵母の接種:開放的な冷却槽を使用
  • 熟成:巨大なオークの木製樽で
  • 瓶詰め:低温殺菌をせず瓶内再発酵をする

【商業的ランビック】

  • 酵母の接種:開放的な冷却槽を使用
  • 熟成:ステンレスタンクで熟成、木のチップを加える
  • 瓶詰め:低温殺菌をして酵母の動きを止める


ツアーの最後は好きな3種類のビールのテイスティングだ。飲んだのは、Cuvee Rene Gueuze、Gueuze、Faro。同じGueuze(グース:若いランビックと古いランビックのブレンド)でも、2種類あるのが面白い。「Cuvee Rene Gueuze」の方が、伝統的製法にて造られたグース、「Gueuze」の方が商業的製法で造られたグース。値段も倍以上違うのだが、飲み比べてみると味も全然違う。もちろん両方ともとても美味しいのだが、Cuvee Reneの方は愛おしくなるような(笑)酸味があってずっと飲んでいても飽きない味だ(おそらく筆者の主観がだいぶ入っているのだろう)。

 

最後に、商業的ランビックを何となく批判的なトーンで書いてしまったのだが、決してそうは思っていないことを特筆したい。確かに私は伝統的ランビックの方が好みなのだが、商業的ランビックは時代遅れだと言われ衰退の一途を辿っていたランビックに果汁を加えることにより、若者や女性層を中心とする消費者を惹き付け、ランビックを持ち直したという大きな功績があるからだ。また、飲みやすく、見た目もキレイなことから、この「ジュース(果汁)ランビック」をきっかけにベルギービールを好きになってくれる人も沢山いる。

でもジュース(果汁)ランビックからベルギービールに興味が出た人たちに、今度は、伝統的な製法のものもぜひ飲んでみてもらいたい。この複雑な味、香りには最初はびっくりして戸惑うかもしれないが、気の遠くなるような製造工程を知ったら絶対愛おしくなってしまうはずだ。

(鍵谷 記)
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